南アルプス深南部 田代から大無間山、大根沢山をへて明神谷林道

 

山名:大無間山、大根沢山

山域:南アルプス深南部(静岡県静岡市)

行程:田代から大無間山、大根沢山をへて明神谷林道

日時:2009年4月30日(木)〜5月2日(土) 晴れ

メンバー:H.K.  記録:H.K.

 

行程図                         カシミール地形図より作成

5月の連休に深南部山行を計画しました。残雪でも行けそうなところということで

大無間山から大根沢山を確認しました。

 

行動時間 (着時/発時)       日出:4:51 日入:18:27

4/30(木)  浜松=====明神林道======田代-------小無間山----大無間山(テント)   

          /2:00        4:45/5:00       5:22/6:00     /1420       17:35           

5/1(金)   大無間山---三方嶺---アサ゛ミ沢コル----大根沢山(テント) フ゛ナ沢コル方面下見   

          /5:35          /7:48    /10:24          13:47

5/2(土)  大根沢山---田代沢頭---明神林道---田代========浜松   

          /6:20          /9:50        /14:42      15:40/15:54   19:30 

注)コースタイムはメンバー、季節天候、山域の状況により大きく変わるので参考とし

て下さい。またこの山域は田代から大無間山以外は整備されていませんので入山する場合には安全に注意して下さい。

 

4/30(木) 晴れ 

2:00    浜松出発。 掛川バイパス大代より大井川ぞいに北上し、接阻峡経由で井川

          地区へむかう。今回は下山口を明神谷林道として下山したら自転車で林道を

          田代まで下る計画である。

4:45    明神谷林道入口。白樺荘温泉工事で工事事務所が設営されていた。(白樺荘

         が新築されるそうです。) 自転車をデポする。(草むらに自転車を置き濡

        れないようにゴミ袋を貼り付ける。)

5:22  田代。てしゃまんくん(伝説の巨人)の駐車場に車を停めて朝食を食べる。

         137km。 

6:00  出発。16℃。大無間山は200名山で登山道が整備されている。あらためて

        案内板をみると大無間山登山はあるが登山口の場所は書かれていない。(笑) 

        登山口は集落の北の諏訪神社入口である。北に細い間道をはいっていくと諏

        訪神社入口のとりいがあり水場がある。ただしここにも登山口標識や案内な

        ど大無間山に関するものはない。少しとまどいながら参道の杉林にはいって

        いく。

6:25    しばらく登ると先ほど分岐した車道を横切る。そこに標識と登山ポスト(井

        川山岳会)があり、諏訪神社と分岐してきれいな植林帯をのぼる。

6:42    尾根にとりつき鉄塔を見送る。

7:00  1100m休憩。快晴無風。10℃。自然林となる。

10:00  小無間小屋1796m。三角点の小開地に青い無人小屋。ここまでは普通の登路

          を順調に登る。ここからは鋸歯とよばれ4つのピークの100m程のアップダ

          ウンが小無間山まで続く。樹林のためか意外に高度感はない。

11:06  降下して登る。P3ピーク。木にマジックでP3と書いてある。樹林越しにP2

           とPI(小無間山)が見える。

11:51  固定ロープなどをつたい70mほど下りのぼるとP2ピーク(1898m)。赤テー

            プにP2と書いてある。気温8℃。

12:25  P1ピーク。赤石岳がみえる。

     再び降下してガレ場を通過する。小無間山が鋭く屹立している。比高250m

           の立ち登りもある長い登り。

14:04  小無間山山頂。気温8℃。残雪があった。樹林のあまり広くない山頂。

     残雪の見え隠れする樹林の尾根をいく。

14:40  ガレ縁のピーク。大無間山の展望がよい。残雪もないのでここに幕営しよう

            か迷うが時間もあるので進む。

15:22  2109m。先行者が幕営している。残雪がふえてきた。境界部分は大体凍ってい

            てよくすべる。軽アイゼンをつける。

16:21 2164m。残雪の樹林帯。アイゼンがきいてここちよい。日没まで余裕があるので

          大無間山山頂をめざす。樹林越しにみえる雪の大無間山が迫力いっぱい。

16:50 大無間山へ雪の急斜面を登っていく。登りきるとガレ場にでる。北面一面に聖

         岳、上河内岳などがみえる。

17:35 大無間山山頂2329m着。山頂は縦走路より少し南にある。完全に残雪におおわ

         れている。さすが200名山ということで登りがいがあったが山頂は樹林で展

         望はない。立派な標識を背景に写真を撮る。(この季節は残雪で水がつくれる。

         少々ゴミがまじるが。山頂から降下する水場は枯れていることが多いようで

         す。) 標識の近くを整地してテントを設営する。テント内0℃。少し疲れた

         ので眠る。

19:30 夕食。定番のグリコの牛丼レトルト、白飯、海藻サラダ。

21:00 外に出ると三日月の晴天。心配していた風もなく快適だった。就寝。

    夜中に寒くて目が覚める。お湯を沸かしてペットボトルにつめて湯たんぽにし

         抱きかかえて眠る。

5/1(金) 晴れ

3:00 起床。コーヒーを飲みテント内を温かくする。朝食。お茶漬け、味噌汁。

   撤収。

5:35 出発。晴れ無風。気温0℃。 これから先は登山道は整備されていない。三方嶺

       に向かってコンパスを合わせてシラビソの雪原を下る。

6:07 2150m。雪がきれるところはアイスバーンとなっている。アイゼンをきかせて慎

       重に下る。

6:45 鞍部を通過して2102mピークへ登る。キツツキが木をつつく音がする。

7:00 三隈池(みすまいけ)近く。笹原となる。湿地帯だがこの季節は湿地は凍ってい

        る。どれが三隈池なのかよく分からなかった。

        大無間山の山頂の西側は様子がかわり笹があらわれ鹿フンが多く見られるの

        がおもしろい。(東側ではどちらもあまり無かった。)

7:10 三方嶺手前の鞍部。軽アイゼンをはずしかっぱを脱ぐ。風不入、朝日岳がみえる。

7:40〜50 三方嶺。今年は無風。北側の展望が絶景。笹ガレ縁の稜線を大根沢山にむか

        って進む。

8:45 ガレ縁を登って小根沢山着。アザミ沢コルにむかい下っていく。

9:40 尾根どおしで下りられない岩(3mくらい)にでる。右に回り込む。

10:16〜24 アゼミ沢のコル。風の通り道。東側にアザミ沢の源頭(残雪)。西側の深

         南部の展望がよい。 

10:38 笹の急登を登る。1922m。笹のピーク。

11:44 2127mピーク。

11:50〜12:40 ガレ場。展望よし。余裕があるので休憩。コーヒーを沸かし展望を楽し

          む。

13:00 大根沢山へガレ縁を登る。今日の行程を振り返る。

13:25 山頂着。一面残雪。とても静か。標識のところで写真を撮る。

13:50 山頂の北側を幕営地にする。適当な平坦地を選び整地(雪を踏み固める)する。

          テントを設営する。

14:00〜15:00 次回の偵察。光岳方面への下降路を下ってみる。コンパスを合わせて進

          む。踏み跡は明瞭で所々赤テープもあった。斜度は35度くらいだが問題なさ

          そうだった。比高50mほど下ってみてから引き返す。

15:00 無風快晴気温7℃。やることもないのでコーヒーをつくる。残雪からお湯をつ

         くってみる。コッヘルに少し水をいれそこに残雪をいれてコンロにかける。あ

         たりまえだが雪はなかなか水にならない。(雪を水に変えるのは水を80度の

         お湯にする熱量が必要とのことです。1gの雪を溶かすのに必要な熱量は80

         cal)(残雪をあてに山行をする場合は水を減らせるが相応の燃料を上げる

         必要があると認識する。)

         やっとお湯を作ったがゴミがある。もっていたタオルでこしてみたがゆっくり

         しているとかなりタオルにすわれてしまう。やっとでお湯をつくる。少し茶色

         がかっているがコーヒーはおいしかった。

15:30 天気がいいのでテントをひっくり返して日向でほす。

16:00 ラジオで気象通報を聞く。天気予報ではないので活用するためには用紙を携行

         して気圧などを書き取る必要がある。深南部でもNHK第二はかなり受信でき

        るので梅雨時の縦走では気象通報は活用できるようにしたいと思った。

17:30 夕食 レトルトのカレー。寝る。

21:30 寒くておきる。お湯を沸かしペットボトルにいれて湯タンポにする。

    暇なので無線を聞いていると応答呼掛けがあった。どうも誰も応答しないので

    駄目もとでコールしてみると通じた。富士山吉田口4合目で天体観測をしてい

    る方でしばし会話をさせて頂いた。今まで稜線から受信はできたのだが1.5W

        の無線機で交信ができさびしさと不安をまぎらますことができ嬉しかった。本

        当に使えた!これは万一のときに使えるかも。

 

5/2(土) 晴れ

4:30 起床。寝過ごした。トリがピピネイと鳴いている。いそいで朝食をすませる。

6:20 撤収完了。今日も無風快晴。気温1℃。軽アイゼンをつけコンパスを北東尾根に

        合わせて出発。快適な雪原歩行。

7:58〜8:24 2135mガレ縁。大展望。光、イザルガ、仁田、茶臼。山座同定を楽しむ。

8:46〜9:28 田代沢頭の手前。最後の展望。悪沢、聖、上河内、茶臼、信濃俣、池口岳。

9:40 田代沢頭。ここから明神谷林道方面へ。昨年自分がつけた赤テープがある。コン

        パスを合わせて倒木帯の山腹へ下降開始。三日間をとおして一番過酷なエリアで

        ある。沢地形に踏み入ると倒木が折り重なり身動きがとれなくなる。

10:49 1903m。残雪はなくなった。アイゼンをはずしカッパをぬぐ。

11:26 1737m。田代沢頭をふりかえる。結構なアップダウンである。縦走の登りには使

          いたくないと思った。

12:33 コンパスを合わせてどんどん下る。林道はしに出る。新芽がでていて歩きにく

          くとまどう。

12:57 1397m。三角点広場。広葉樹林帯。吹き上げる風がここちよい。

13:46 尾根右手に林道があらわれる。林道をいく。

14:05 林道前方50mほどを黒い物体が駆け下っていった。熊だ。熊鈴正解。

14:30 林道入口到着。工事をやっていた。気温22℃。山歩き終了。林道に腰を下ろ

         し昼食のパンを食べる。

14:42 デポした自転車をセットする。最後のテーマ。12kmの自転車移動である。

         15kgの荷物があると平地ではスムーズに進まない。車道を田代へ出発。畑

          薙第二ダム横のトンネルでライトをつける。明神谷までは下りだがそこから登

          りは押して歩く。左手はるか下に新井川渓谷がみえて絶景である。吹き上げる

          風がここちよい。

15:40 田代着。途中からは安定した下りで自転車が活用できた。時速12kmである。

    駐車場で観光の方に写真を撮っていただいた。

15:54 自転車を車に積んで田代を出発する。充実した縦走だった。

   井川の中部電力前で携帯(au)のアンテナが出たので自宅と在浜に下山メール

       を入れる。

16:40 井川から千頭、金谷経由でかえる。空が青く接阻峡や徳山からみえる山が立派

         だった。

19:30 浜松到着。254km。お疲れ様でした。

 

感想

田代から大無間山、大根沢山、明神谷林道まで確認することができました。

大無間山までは長い登りですが一般路で明瞭です。鋸歯尾根はアップダウンが大きいで

すが樹林で以外に高度感はありませんでした。大無間山からは整備されておらず踏み跡

も薄くなります。大無間山から三方嶺ではササが多くでできます。三方嶺から大根沢山

は尾根ぞいで下草もうすく迷うところはありませんがガレ縁の通過が多かったです。大

根沢山から田代沢頭までは尾根ぞいで明瞭ですが、田代沢頭からの下りは山腹の大倒木

帯で今回一番過酷でした。明神谷林道まではアップダウンがあります。ピークから支尾

根があったりでコンパスワークは必要です。今回五月連休で高気圧に覆われ三日間無風

快晴で涼しく快適で充実した山行がおこなえました。

 

入山口や稜線の様子を以下に写真で紹介します。

 

明神谷林道入口                                                    自転車をデポする。

田代 井川オートキャンフ゜場前の無料駐車場                                 諏訪神社入口

大無間山登山口                                                     登山ポスト

植林帯を登る。                                                      1402m 杉林

1796m 小無間小屋                                               小無間山へ鋸歯尾根

P3よりP2(大釟刃)P1小無間山                   P3からの下り

立ちはだかる小無間山。比高250m。                小無間山2149m山頂。残雪。

稜線より大無間山の展望。                                               2109mの様子

大無間山への雪の急登                                              大無間山2329m山頂。幕営する。

2日目 千頭のほうへ下る                                                 結構な急斜面

2102m                                                            三隈池あたりから三方嶺

三方嶺から北面の展望 今回は無風だった。                              ガレ縁をいく

小根沢山手前の鞍部                          小根沢山への登り

三方嶺を振り返る。                                                   小根沢山山頂

ガレ縁の通過                                                           降りられない岩があり右へ回り込む

アザミ沢コルへ降下                                          アザミ沢のコル

アザミ沢の源頭                                                                        大根沢山を見上げる。

1922m ササのピーク。テント適地。                                      2127m 

北面の展望よし。                                                 大根沢山への登り。

ガレ縁の登り。                本日の行程を振り返る。大無間山

大根沢山山頂。残雪                                                山頂はかなり広い。テント設営。

ブナ沢コルへの下降路を下ってみる。                                        3日目。北東尾根に下降。

2137m                                                              2135mへの登り。

2112m田代沢頭                                                       畑薙第二ダムへ。山腹を下る

尾根にのる。                                                         1903m

1737mへの登り               林道部のほこら

1397m三角点                                                         下降路の様子

明神谷林道に合流。                                                   明神谷林道をいく。ところどころ崩壊。

林道入口に到着                                                    自転車で田代まで戻る。

 

謝辞

 今回の山行は多くの方の長年の知見を参考にさせて頂いています。この場をお借りし

て御礼申し上げます。

 

参考にさせて頂いた書籍

「南アルプス 大いなる山 静かなる山」 永野敏夫 永野正子 著

 

以上